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- 犬のフィラリアについて学ぶ
- 犬のフィラリアを発症してしまったら
フィラリア症になった犬の症状は、寄生してからの期間、寄生したフィラリアの数などで異なってきます。
一般的に、寄生数が少ない場合や病気の初期の場合はほとんど無症状ですので、見過ごしてしまいがちです。
病気が進行してくると、まず、気付くのは「咳」です。
さらに、元気がなくなり散歩を嫌がったりするようになります。
このときには既に心臓や肺の血管にダメージが出始めており、やがて肝臓や腎臓など体の主要な臓器にも影響をもたらすようになり、急激に痩せたり、お腹に水(腹水)がたまったりするようになります。
最終的には死に至ります。
また、稀な例では、このような慢性経過を経ることなく、突然に真っ赤なおしっこ(血色素尿)を出して、その後約1週間で死んでしまう、恐いタイプの病気もあります(急性大静脈症候群)。
フィラリア症の診断
フィラリアの成虫は心臓、肺の血管に寄生しているので、直接、見つけることはできません。
一般的には、血液中のミクロフィラリアや、成虫が排泄したタンパク(抗原)を確認する方法がとられます。
寄生が確認されたら、さらにレントゲン撮影、心電図や超音波検査などを行って、寄生部位の損傷具合(心臓や肺の状態)などを詳しく調べます。
フィラリア症になってしまった場合の治療について
TIPS
フィラリア症の説明は「家とシロアリの関係」に例えると分かりやすいです。つまり、シロアリによって傷んだ家では、シロアリを殺虫剤で駆除することはできますが、傷んだ家は決して元通りになりません。フィラリアを完全に退治することができたとしても、肺・心臓・血管へのダメージは大きく、元の元気な状態へ戻す(完治する)という事は難しいのが現実です。
フィラリア症の治療は、犬の年齢、寄生状況などを注意深く診察してから、ケース・バイ・ケースで処置が施されます。
発症した犬に体力がある場合はフィラリアを駆逐する処置がとられることもあります。しかし、駆除薬を投与した結果、死滅したフィラリアが肺の血管にどんどん詰まっていき、かえって病気を悪化させることもあります。
一方、急性の悪化症例の場合は緊急手術(頸部の静脈から特別な鉗子(かんし:金属等でできた先がつまみのようになったもの)を使って心臓内のフィラリアを釣り出す)を行わなければいけません。
虫の駆除や手術に耐えられないと判断された場合は、症状に対する対処療法を中心に行い、寄生フィラリア数の自然な減少を期待することになりますが、病気が良くなっていく可能性は高くありません。
最善の選択は、そもそも寄生させない事。である事にかわりはありません。